島根益田市 田ノ原牧場~山地酪農の実践~

島根のちょっと山奥で自然と共に生きる酪農家(を目指す)ブログです。
2017年10月現在、山羊一頭と猫2匹,牛四頭。少しの田んぼと畑を無農薬で細々とやりながら、牛を山に放牧しながら、耕作放棄地となった田と荒れた山を開拓しています。

長すぎる一日(後編)

前日のココちゃんの死に気を落としていたその2日後のこと


朝いつものように餌をやりにいくと、なんだかネネちゃんが鳴いてる。
最初はただ座っているだけのように見えたが、よく見ると座っている場所がおかしい。


田んぼと山の間、電牧で仕切っている隙間に足が入ってしまい、うまく立てなくなって鳴いていたのだ。


しかも発見したときは電牧がネネちゃんの尻にモロに当たってしまっていて、パチパチいっている始末。


何度も立ち上がろうとしたがうまくいかず、諦めたのだろう。ほんのちょこっとの坂でも、牛は思いがけぬ形で立てなくなることがある。先日のことが思い返され、死が頭をよぎった。


とりあえず一人ではどうしようもなかったのでお義父さんを急いで呼び、二人かかりで立たせようとしたがダメだった。足が変な形で土に足を取られ、また一晩はまった状態でいたことで気力がなくなっていたのだろう。


結局、ココちゃんの死体を取りにきてくれたNOSAIの人たちに頼んで、ココちゃんの救出とネネちゃんの死体搬出を同時にしてもらうことになった。


NOSAIの人たちは6人くらいもやってきてくれたが、4トン車が農道に入らず、全ての作業を人力で行わざる得ない状況になった。


しかも連日の雨で田んぼはぬかるんでいるので、トラクターも使えない。


そこにいる人たちすべてが、
「これは相当面倒になるな」
と思っていただろう。


実際その通りになった。
まず大の男6人がかりでネネちゃんを強引に引きずりあげた。そこにはテクニックとか技とかはなく、ただ二人でロープで頭を引っ張り、4人でバランスを崩さないよう尻をぬかるみから押し上げたのだ。


ネネちゃんは大分衰弱しており、その場では立つことができなかったが、とりあえず避難させることができた。


次にココちゃんの死体搬出。これもまた素晴らしくぬかるんだ場所だったので、ブルーシートを2枚しいて、その上をロープを3本、頭、前足、後ろ足に巻き、全員で引っ張るという荒業であった。滑りやすいように、石鹸入りの水をバケツでまいた。


なんとか田んぼの中から脱出させたのち、今度は軽トラに乗せる。これも道板を二つ
組み合わせた上に、2台目の軽トラにロープを結び、落とさないようバランスを取りながら慎重に引っ張って乗せる。


なんとか乗せ終わったら、大きな道まで軽トラで運び出し、そこからまたユニックで搬送してもらいました。


これらを午前中いっぱいで終わらせることができたのは、NOSAIさんの協力があったからです。一人だとバックホー借りて地道に1日かけてやるしかなかったと思います。


全て終わったあと残る懸念は、ネネちゃんの容態でした。
普通の牛では、あれだけ衰弱して足も痛めたとなると、まず廃用を考えます。
歳も9歳と高齢で、回復力は若い牛に比べると弱い。


その心配を背に、ネネはあっさり午後に立ちました。よろよろとして頼りない足取りではありましたが、どうにか足場のいい場所まで移すことが出来ました。


このあとしばらくネネは自力で立てず、誰かが立つとき尻を持ち上げてやるようにしてやらないと崩れてしまい、予断の許さない状況が1週間くらい続きました。


しかしその後は順調に回復し、今は以前より慎重にはなったものの、同じように歩き回れるようになりました。


今回、牛の本来持っている生命力を感じた反面、ぬかるんだ場所ではあっさりと死んでしまうという危険が常に隣り合わせであるということを強く意識しました。


今後はなるべくぬかるんだ場所をなくすよう、排水対策、地形の改良をしていかないといけません。


ネネちゃん、生きてくれてありがとう。



長すぎる一日(前編)

10月25日は雨でした。
前日から降りしきる雨で、温度も上がらず地面もぬかるんでいました。


また、青々と生い茂っていた草も少なくなり、牛たちは田んぼのなかにも入って一生懸命わずかに残った草を食んでいました。


この日は仕事で帰りが18時くらいになり、暗い中いつものように牛たちに餌をやりにいくと、いつも真っ先に飛んでくるはずのココちゃんの姿が見えません。


まず子牛たちが寄ってきて、そのあとネネちゃんがのそのそ出てきましたが、牛たちが餌を食べている間も、ココちゃんの声も聞こえません。


これはおかしい、と思い、すぐ家に帰ってお義母さんを連れてきて懐中電灯で山の周りを見て回りました。



ココちゃんはそのあとすぐ見つかりました。


横になって転んで起きれなくなり、おなかにガスがたまって死んでいました。
ぬかるんだ畔で滑って、変な倒れ方をしてしまったため起きれなくなってしまったのです。


牛は4本足なのでぬかるみには強いですが、横になってしまうと自力で立てず、その後3~4時間もするとお腹にガスがたまって死んでしまうのです。


恐らく昼すぎくらいに倒れてしまったのでしょう。ココちゃんの動かなくなった体には、まだほんのり温もりが感じられました。


その日はどうすることもできず、親の近くでなく子牛のゲンジに
「お母さん助けられなくてごめんね」
と謝ってから家に戻りました。


家に帰ってから、どうすればココちゃんを救えたか、自分に何が足りなかったかをグルグル考えていました。


・もっとしっかり冬季の餌を早めにやっていれば
・ぬかるんだ場所を避けて放牧していれば
・見回りに行くのを頼んでいれば


放牧に事故はつきもので、どんなに気を付けても死ぬときは死にます。
特に舎飼いだった牛ならなおさらです。


ココちゃん、ネネちゃんがあまりに順調に山に馴染んでくれてため、油断していた。
牛に甘え、飼い主の責務を果たせなかったことが原因。



初めて外に出されて、虫にたくさん刺されて、夏の猛暑を必死に乗り越え、田んぼに泥まみれになりながら入って草を食べていたココちゃん。


わがままで勝ち気で、ブラッシングが好きな牛でした。
ほんの半年足らずだったけど、ココちゃんのおかげでゲンジは大きく成長したよ。
山の芝もきれいになってきたよ。


上手に飼ってあげられなくてごめんね、今までありがとう




しかし、これは序章に過ぎなかった・・・


小さな牛舎、建つ(骨組だけ)

ながーい間がまたしても空いてしまいましたが生きてます!


牛たちもすっかり山に慣れ、ぬかるんだ田んぼにズボズボ足を突っ込んでは草を食べ、たまった水たまりの水を飲むくらいに逞しくなっています。


道に出した牛がすっかり道草を食べくれました。
夏場は草の再生力のほうが勝ってしまいますが、10月になると徐々に草が足りなくなってきます。


子牛も乳と草、両方を食べておなかいっぱい

荒地にも積極的に入っていきます。子牛のほうが身軽なぶん広範囲の草を食べてくれます。食べない草はたまに抜いて回ることで牛の食べる柔らかい草を残します。


天気のいい日はみんなで並んでお昼寝、しっぽを振り振りしてとても気持ちよさそう。


そして、いよいよ牛舎が形になってきました。

じゃん

じゃじゃん

じゃじゃじゃ~
・・・( ^ω^)・・・ん!?


完成前に待ちきれずに牛が入ってきてしまいましたね。餌がないとわかるとさっさと彼らは草を食べに出て行ってしまいました(笑)


骨組みは知り合いの大工さんが作ってくれたので、あとは屋根と雨どい、2回物置の床面を張ればとりあえず雨はしのげます。


水稲でみんな忙しい時期なので、完成はもう少しかかりそうです。


自分は秋野菜の準備に追われています。


大根、白菜、玉ねぎ、ネギ、青梗菜、蕪、水菜、からし菜、子持ち高菜
以上の種まきは終わり、
これから
ゴボウ、菜花、スナップエンドウ、さやいんげん、ソラマメ
の種を蒔きます。