島根益田市 田ノ原牧場~山地酪農の実践~

島根のちょっと山奥で自然と共に生きる酪農家(を目指す)ブログです。
2017年10月現在、山羊一頭と猫2匹,牛四頭。少しの田んぼと畑を無農薬で細々とやりながら、牛を山に放牧しながら、耕作放棄地となった田と荒れた山を開拓しています。

シックスプロデュース訪問

島根の邑南町で日本でも数少ない牛を24時間365日山で放牧する【やまち酪農】を実践するシックスプロデュースさんにお邪魔しました。


偶然まえ私たちが働いていた岩手の【中洞牧場】から岡山の祭事に元同僚も来ていたので、同伴しての出発。


瑞穂インターを降りて10分くらいしたところで景色が開けて、綺麗に整備された場所に出ました。シックスプロデュースさんのジェラートカフェ【Mui】です。

周辺にはほかにもハーブ、バラ園やおしゃれな喫茶店、レストランなども揃っています。

地域の有志が集まって、いろんなオーガニックなものを生産、販売する拠点となっているようでした。


店内の様子。牧場直営のカフェには珍しく、有名喫茶店とコラボしたり、手作りの小物やこだわりの食材なども置いていました。

黒板アートもかわいらしいです。

暖かで優しい雰囲気の空間でした。

ジェラートとソフトクリームもいただきました。さっぱりとしつつ上品な甘さで、夏場の暑い時期でも食べたくなるようなおいしさでした

ここで小一時間ほど社長さんとお話ししてから、車で30分ほど離れた牛舎に連れて行ってもらいます。


到着。

早速ホルスタインのお母さんがお出迎え。

奥にはたくさんの牛さんが草をはんでいます。

おとなしくて人懐っこい牛が多かったです。よく手間をかけられているのが伺えます。

牛舎も見せてもらって、軽く周りを見学させてもらってから中洞スタッフを広島駅まで送るため,急ぎ気味でお別れをすましました。


忙しい中対応してくださったシックスプロデュースの皆様本当にありがとうございました。

久しぶりに牛と会えて(3か月ぶりくらい)テンションが騰がりました。

美味しい乳製品も飲めて、綺麗な景色も楽しめたて充実した視察となりました。

芝の成長記録と山への植え付け

山を芝草地化するために、徐々に山に芝を植え付けていきます。


今回、私が選んだのは雪印種苗さんの、センチピードグラス、その名もサマーグラスです。


「センチピード」とは英語で、昆虫のムカデのことらしいです。
和名も「ムカデシバ」といい、ランナー(地上匍匐茎)をムカデの足のように伸ばすその姿から名づけられているようです。原産は東南アジアらしいです。


 耐干性、耐蔭性、耐雪性、冠水抵抗性、耐病虫性に加えて、節から分枝、発根するランナーによって土面を覆い尽くし、その分厚い布団のようなターフ(シバの茎葉)で、雑草種子を発芽させません。また強い他感作用(アレロパシー)も確認されています。


引用(水田を救うセンチピードグラス(そして水田は地球を救うhttp://www.eonet.ne.jp/~sentipede-oukoku/nouhau/)


特にこのサマーグラスは強い初期生育能力と最大50センチほどにもなるという繁茂力があるということで選択しました。しかしお高い。なんとキロ14000円!

適正播種は5~10kg/10a。いや、無理だろ…破産するわい。

とんだ高級種ですが、とりあえずお試しで2キロ購入。バミューダグラスも併せて2キロ購入。それで4万くらい。やはりお高い。


しかし、一度生えた芝は自分で簡単に移植して増やすことができるので、多少の初期投資は仕方ありません。


お高い種なので、少し山に直播して様子を見つつ、残りは米と同じ育苗箱&育苗土に播種。



一番最初に撒いた種の発芽。この時は5月中旬くらいでしたが、雨がふらず乾燥が続いたときにうまく灌水できなかったため、全体的にムラの多い発芽となりました。

発芽しても乾燥にやられたものも多く見受けられました。


精々50%くらい?土自体も残り物の質の良くないものが混じっていたせいもあると思います。10箱程度で様子見をしたので、被害は少なかったのが不幸中の幸いです。



成長した芝。隙間が多くみられます。

この反省点を受けて、6月頭に2回目の播種。前回より厚撒きにし、たっぷり散水した後ブルーシートをかぶせました。発芽後も直射日光をさけ、半日陰くらいの場所に移しました。


前回は発芽まで10日以上かかりましたが、2回目は3~4日程度で発芽。光がないのでモヤシのようなひょろひょろとしたものでしたが、暖かくなってたこともあってかなり早く発芽できました。


これが2回目の発芽、前回とは歴然の差です。逆に過密になりすぎているので、このやり方ならもっと薄撒きでも良かったですね。これで30箱くらいつくりました。

全部で45箱くらい作りましたが、6箱くらいはうまくいきませんでした。

面白かったのは、育苗の土だけで育てた苗より、土が足りなかったので畑からとってきた土を混ぜたものの方が明らかに発芽が良かったです。まあ水稲用の土だったので、保水や微量な肥料分が効いたのかもしれません。

山の開拓したところにひっきりなしに生える破竹と笹。ほんとうに厄介です。あらゆる雑草が可愛く思えてきます。はやく牛か山羊を放牧して食べてもらいたいです。


いよいよ山に移植、山の土を掘ると竹やら木やらの根がウジャウジャ出てきます。


手ですくって崩さないように移植。これはまだ少し移植するには小さかったかも。

こんな感じです。

今のところ移植した芝は枯れてはいませんが、大きな成長もしていません。

逆に山に直播して生き残った一部の芝は目覚ましい成長をみせており、背丈も10センチを軽く超えるものもあります。ただし、発芽率は控えめに見ても10パーセント以下くらいでしょうか。やはり山への直播だと雨での流出や落ち葉に阻まれてうまく発芽できない模様。

場所のいいところを選んで直播してやれば効率がいいと思われます。


今回、芝を育ててみた考察とまとめ


芝は初期生育段階では高温と水分を保持するため、4~6月中にハウス、もしくは育苗箱をブルーシートで覆った状態で発芽させ、その後も乾燥させないよう注意することが最重要

。直播する場合は環境をしっかり整えてからが望ましい。直播と移植をバランス良く組み合わせることで、より効率的に芝面積を増やせると思われる

育苗用の土は水稲用より保水性のあるものが望ましい。次回はJAで通常の野菜用の土を用いたい。

そして、猫は決して育苗中は箱に近寄らせてはならない!大事に育てた苗が猫のトイレと化してしまう可能性がとても高い!

結局残りの芝は山に避難させました。


↓(人の気持ちも知らず胸の上でご満悦の犯人の図)

来年には牛が芝刈りと芝の種まきを手伝ってくれることを期待します。

竹暗渠の設置

田んぼに牛を放つ、もしくは牧草を採ります。



しかし田んぼというのは長年水を貯蔵してきたため、大体が水はけが悪く、むしろ水が集中的に集まるよう作られています。

そういった場所は、えてして雨がふれば水たまりだらけになり、しかも排水も悪いから乾きも悪いの悪循環になっています。生えるのは精々水草かセイタカアワダチソウくらいのものです。


それを改善するためには、まず排水を良くします。

うちの田は山に面しており、しかも上の田は耕作放棄してから長く、その両方からの水が田に流れ込んできます。

今回はその二つと田の間に溝を掘り、竹を埋めて地中に見えない水の通り道(暗渠)を作ります。

まず排水する川辺を拡張します。草で覆われていた上にヘドロがたまっていましたがスッキリ。アカハライモリもいます。とろくて簡単に捕まるのでとても愛嬌があります。


次に山際から順にバックホーで溝を掘っていきます。

下がぬかるんでいるのではまらないよう慎重に行きます(まあ結局はまりましたが)。

60㎝くらい掘った溝の中に切り出した竹を入れていきます。

かなりの量をいれるので掘るより竹の運び込みがこの作業は時間を食います。

1反当たり大体500~600本くらいは入れたと思います。

竹を入れたらその上に笹を乗せていきます。余計な土や石が水の流れを止めないようにするためです。これもかなりの量を使いました。

お父さんお母さんも手伝ってくれたので、なんとか1日でここまで終わりました。


竹はとても腐りづらく、土に還りません。それを逆に利用して安価に排水を良くしようというのがこの竹暗渠です。

それでもバックホーを月決めで借りたので配送料、燃料代込みで15万くらいかかりそうです。市の3割補助を使っても10万はかかります。

やはり開拓にはバックホーは自前が欲しいです。


今のところ、ちゃんと水は川に排水されていますが、さらに今後は田んぼの粘土状の土質自体の改善も行っていこうと思います。


野性を失った猫と人が通ると顔をのぞくヤギのすけさん。

だいぶ家になじんできて、脱走することも(ほぼ)なくなりました。

バラばかり食べるので、もっと雑草を食べて欲しいところですが…