島根益田市 田ノ原牧場~山地酪農の実践~

島根のちょっと山奥で自然と共に生きる酪農家(を目指す)ブログです。
2017年10月現在、山羊一頭と猫2匹,牛四頭。少しの田んぼと畑を無農薬で細々とやりながら、牛を山に放牧しながら、耕作放棄地となった田と荒れた山を開拓しています。

H29年度の牧場を振り返って【草地編】


この記事は今年度の私的なまとめのようなものです。
なので写真や面白みのあることはありませんのでご了承ください。


今年度は気候、天候、ともに平年より変動幅が大きかった。
梅雨は日照り、その後の洪水、猛暑、厳冬、積雪
台風以外は一通りの被害を受けた形となった。


それを受けて牧草の育ちも悪く、虫は多発し、野菜にも病気が多くみられた。
冬には多分に漏れず野菜の生育が芳しくなかった。


今年蒔いた牧草は


単年草:イタリアン、ソルゴー、飼料用ヒエ
多年草:野芝、バヒアグラス


イタリアンは去年の冬にまいたものを春先に収穫したが、刈り取りが遅れ穂が出てしまった。日照りが続いたので、乾草にしてみた。牛の嗜好性は刈り取りが遅れたこともあり良くなかった。
その後2度目の刈り取りはせず、そのまま漉き込んだ。冬にコボレ種から発芽し、雑草と化した。また春先に漉き込む予定。
来年度はサイレージにするか、そのまま給餌したい。


ソルゴーは5、8月まき。たい肥を入れたところでは旺盛に伸び、大きさも2m近くなった。7月から8月にかけて1回刈り取り、サイレージにしたところ、なかなか良い出来となった。初期成育がよく、肥料を与えた分だけ収穫できるうえ、食い込みも良いのでまた作付けしたい。


飼料用ヒエはソルゴーと同じタイミングで田んぼ跡地の中でもぬかるんだ場所にまいたが、終始あまり発育がよくなかった。ソルゴーと同時期に播種し、収穫も同じころに行ったが、収量はかなり少なめとなった。田んぼに生えている雑草のヒエと同じ感覚で雑に扱ったのがまずかったか。いまのところまく予定はない。


5月下旬には放牧地に野芝とバヒアグラスをまいた。
2種とも著しく初期成育が悪く、2週間から遅ければ1か月ほど成長が見えないほどだ。
しかし、去年まいたセンチピートグラス、バミューダグラスも今年になって成長が見えてきたことから、来年度の成長に期待したい。
値段では圧倒的にバヒアグラスが安いので、来年度はバヒアを中心に組み合わせていこうと考えている。


うちの山はぬかるみが多いことから、湿地に強いリードカナリーグラスの導入も検討中。


冬場には知人に聞いたイタリアンとエン麦の組み合わせに、クリムゾンクローバを少量混ぜて播種、現在、順調に青々としてきている。これも春先に刈り取ってサイレージ化、状況次第で青刈り給餌していく。



冬の終わり、春の始まり

今年の冬は長かったような気がします。
島根でもかなり雪が降りました。

雪国の人からしたらほんの僅かでしょうけど
牛たちは雪にも負けず山で頑張ってくれました。

むしろ夏よりは大分元気にしていたような・・・
餌はなかったですが、山に残ったわずかな草や、切り倒した木の葉っぱを食べてしのいでいます。



うちの山は常緑樹が多いので助かります。
落葉樹はあまりたくさんあると葉っぱで下草を覆ってしまうので、バランスを見ながら木を残していかなくてはいけません。


冬は畑も採草地も入れないのでひたすら間伐、山がだんだんと明るさを取り戻してきます。来年の夏には草が茂って欲しい・・・


春の訪れを感じる日差しを浴びてご満悦の山羊たち。でも下に敷いてるそれ牛の餌・・・



長すぎる一日(後編)

前日のココちゃんの死に気を落としていたその2日後のこと


朝いつものように餌をやりにいくと、なんだかネネちゃんが鳴いてる。
最初はただ座っているだけのように見えたが、よく見ると座っている場所がおかしい。


田んぼと山の間、電牧で仕切っている隙間に足が入ってしまい、うまく立てなくなって鳴いていたのだ。


しかも発見したときは電牧がネネちゃんの尻にモロに当たってしまっていて、パチパチいっている始末。


何度も立ち上がろうとしたがうまくいかず、諦めたのだろう。ほんのちょこっとの坂でも、牛は思いがけぬ形で立てなくなることがある。先日のことが思い返され、死が頭をよぎった。


とりあえず一人ではどうしようもなかったのでお義父さんを急いで呼び、二人かかりで立たせようとしたがダメだった。足が変な形で土に足を取られ、また一晩はまった状態でいたことで気力がなくなっていたのだろう。


結局、ココちゃんの死体を取りにきてくれたNOSAIの人たちに頼んで、ココちゃんの救出とネネちゃんの死体搬出を同時にしてもらうことになった。


NOSAIの人たちは6人くらいもやってきてくれたが、4トン車が農道に入らず、全ての作業を人力で行わざる得ない状況になった。


しかも連日の雨で田んぼはぬかるんでいるので、トラクターも使えない。


そこにいる人たちすべてが、
「これは相当面倒になるな」
と思っていただろう。


実際その通りになった。
まず大の男6人がかりでネネちゃんを強引に引きずりあげた。そこにはテクニックとか技とかはなく、ただ二人でロープで頭を引っ張り、4人でバランスを崩さないよう尻をぬかるみから押し上げたのだ。


ネネちゃんは大分衰弱しており、その場では立つことができなかったが、とりあえず避難させることができた。


次にココちゃんの死体搬出。これもまた素晴らしくぬかるんだ場所だったので、ブルーシートを2枚しいて、その上をロープを3本、頭、前足、後ろ足に巻き、全員で引っ張るという荒業であった。滑りやすいように、石鹸入りの水をバケツでまいた。


なんとか田んぼの中から脱出させたのち、今度は軽トラに乗せる。これも道板を二つ
組み合わせた上に、2台目の軽トラにロープを結び、落とさないようバランスを取りながら慎重に引っ張って乗せる。


なんとか乗せ終わったら、大きな道まで軽トラで運び出し、そこからまたユニックで搬送してもらいました。


これらを午前中いっぱいで終わらせることができたのは、NOSAIさんの協力があったからです。一人だとバックホー借りて地道に1日かけてやるしかなかったと思います。


全て終わったあと残る懸念は、ネネちゃんの容態でした。
普通の牛では、あれだけ衰弱して足も痛めたとなると、まず廃用を考えます。
歳も9歳と高齢で、回復力は若い牛に比べると弱い。


その心配を背に、ネネはあっさり午後に立ちました。よろよろとして頼りない足取りではありましたが、どうにか足場のいい場所まで移すことが出来ました。


このあとしばらくネネは自力で立てず、誰かが立つとき尻を持ち上げてやるようにしてやらないと崩れてしまい、予断の許さない状況が1週間くらい続きました。


しかしその後は順調に回復し、今は以前より慎重にはなったものの、同じように歩き回れるようになりました。


今回、牛の本来持っている生命力を感じた反面、ぬかるんだ場所ではあっさりと死んでしまうという危険が常に隣り合わせであるということを強く意識しました。


今後はなるべくぬかるんだ場所をなくすよう、排水対策、地形の改良をしていかないといけません。


ネネちゃん、生きてくれてありがとう。